「機翼の少年」製作過程

2017年1月4日 / ドット絵

年賀状で友人へ送った機翼の少年の製作過程の記録です。
というかタイトルとか一切決めてなかったんですが、
送られた友人が「機翼の少年」と称していたのでそれを採用しますいただきますありがとう(完結)



■0.使用ソフト
描画:EDGE
加工:BTJ32、AzPainter2

[書くところに困ったのでここで]
・「機械羽」「機翼」と、似た表現が度々出てくるが、正直な所大して区別していない。
 強いて言えば「機械羽」は僕発言、「機翼」は友人発言だが、
 僕個人としては「機械羽」という表現に拘りがあるでもないので、
 つまるところあまり考えず流してくれればと思う。
・これはあくまで「製作過程の記録」であり、「ドット絵の描き方講座」ではない。
 いやまぁ参考にするのは自由であるし、質問があれば答える所存であるが。
 「執筆にあたり『分かりやすさ』を心がけてはおらず、その結果色々と冗長だったり余計だったりする」。
 僕が講座にせよ記録にせよ、製作過程を見るのが好きなので、つまりそのためのものである。


■1.下書き

てきとうなコピー用紙にざくざくがりがり。コピー用紙というか不要になった紙の余白である。
描画ツールは100均で買った2.0mmシャーペン。キャンドゥだっけダイソーだっけセリアだっけ。どれかだ。

酉年ということで、「機械羽を描く」ということをまず決める。なおそれしか決めていない。
ポーズは何も無いところから描けるほどの経験値が無いので、
「機械羽が僕の描ける角度になりそうで映えていい感じのポーズ無いかね」
「まぁ機械羽は装備品くらいのイメージということで剣でも構えれば様になるかね」と、
「剣 ポーズ」で検索。
そんなこんなでたどり着いたこちらをありがてぇありがてぇと参考にさせて頂く。

描くものについて、機械羽の他、友人の好きそうなモチーフと自分の好きなものと描けるものをすり合わせ、
「耳あて付き帽子」「ゴーグル」「スチームパンク(生き残れた気がしない)」
「マントかケープかマフラー(残せなかった)」「足甲プロテクター(分かりにくい)」「短剣」と、
文字でメモしたり絵におこしたりざくざくがりがり。
所詮下書きなので雑で良いのだが、どうせ何処かの工程で「どうなってんだここ」と頭を抱えるので、
未来の自分の頭痛を軽減すべくぼんやりとは考えてなるべく描き込むつもりでは居ておく。
つまりあまりかんがえていない。


■2.縮小

スキャナで取り込み、BTJ32で必要箇所のトリミングと縮小して16色bmpで保存。
スキャナの設定はグレースケール、解像度は多分300dpiあたりじゃなかろうか。覚えてねぇ。

300dpiというのは思考停止の結果の数字であって、実際のところ無茶苦茶縮小するのでそんなに要らないと思う。
具体的には96px四方にする。(※画像は見やすいよう192px四方に拡大してある)
なお「■1.下書き」で上げていた画像がその取り込み・トリミングまで済ませた状態のものを、
今回の製作過程記録用に50%縮小したものである。
そして先述の通りすぐ上の画像は96px四方ではなく192px四方に拡大したものである。
絶対300dpiとか要らないと思う。(二度目)

ちなみに96px四方という数字にもあまり意味は無い。
「イラスト寄りのドット絵描くなら僕はこの辺が描きやすい気がする」という個人的感想である。
あと8の倍数にしとくといつも使ってるグリッド線が見やすいという都合。


■3.線画

16色bmpをEDGEで開き、パレットを整え、ペンタブでがりがりと線画を起こしていく。
新規レイヤを作成し、真っ赤などの目立つ色でがりがりと。
(※画像で灰背景、黒線画なのは見やすくするため)

減色はもとよりグレスケなのでまだしも、縮小で何が何だか分からないことになっているので、
原画(アナログ)を見つつなんとかしていく。
あとポーズの参考にした画像が普通の頭身で、絵柄的に頭身を下げたかったので、
下書きを意図的に無視して頭を大きくしたりなど。
機械羽をどんなデザインにするか、一切・全く・微塵も決まってなかったので頭を抱えている。
何処となく禍々しいなこの時点の機械羽。

整える内にそれっぽく見えたりしないだろうかと問題の本質から目を逸らしつつ作業を進めていく。
大体の形が取れたら細部を整えるべくペンタブからマウスに持ち替え。
なお機械羽をググったりコピー用紙に描いては消しで、アナログでもデジタルでも全力で迷走しつつの作業である。

ちなみに服装についてもあまりかんがえていない。じゃあおまえはなにをかんがえていたんだ。
ポーズ的にスカートだと宜しくないかなという程度である。
「機翼の少年」ということになったが、実際のところ最後まで少年か少女かは考えていなかった。
少女っぽい要素を一切描かなかったので少年になったという。
ホットパンツにするとか、後ろで括ってることにして背景に髪を描く等すれば少女になったかと思う。

あと武器は最初曲刀の予定だった。
いざドットで起こしてみたら「薄さの表現がしんどい」という都合で短剣になったのであった。
友人が生やした設定により「機翼の片方を潰してナイフにした」ということになったので、
なんとかそのまま貫ければ羽の形をそのまま活かしたようでそれっぽかったかなーと若干惜しむ次第である。

背と機械羽との接続がどうも安定感を欠くというかぎこちない感があるというかで唸っていたのだが、
「ドットでの歯車表現」(どんなサイズ・デザインの歯車が描けるか)とぽちぽち落書きしていたところ、
「歯車を関節部とする」デザインに行き当たり、収まり良く感じたのでその路線でなんとかすることに。
下書きのように、向かって右の翼は畳んだ形で描くことも考えていたのだが、
この機械羽がどう動いたら畳んだ形になるのか思いつかないし、
その辺の整合性を解決出来るような機械羽のデザインを新たに考えるのも頭が痛いので却下。
次いで、向かって左の翼をコピー・反転して両翼広げさせることも考えたが、
どうもバランス悪く感じられたので折れたことにした。
折れたことにしたので、向かって右の歯車は左に比べていくらか破損させている。

まさか「少年自身が折った(短剣にするため潰した)」という設定が生えるとは微塵も思っていなかったが。

あと何も考えてなかった服装について、
袖口を見せたいのでとりあえず半袖にしたり、あと趣味でレッグポーチを生やした。


■4.色乗せ

大体の色を作ってだばだば乗せる。
とりあえずこれをしておかないと、どの点を何のつもりで打ったのか分からなくなるので。
影なのか、模様なのか、パーツの一部なのか。「この辺で塗り分け」という記号だったりもする。

例を上げると、
影(向かって右のブーツの太ももとの接点や、顔の向かって左側の空間)
模様(袖の模様)
パーツの一部(ゴーグルのベルト部分や機械羽の歯車部分)
塗り分け記号(ナイフの中心線)   といった感じ。

段階としては色塗りであるが、色を乗せると違和感が見えてきたりもするので、適宜線画には手を入れていく。


■5.本格的に着色

な ん と か す る 。

……いや、まぁ、流石にこの説明はどうかと思う。我ながら思う。のでなんとか言葉にしよう。

目に付いたところからなんとかしていくのだが、実際のところ基本的には肌から。
もうパターン化されていて、あまり考えることがないので。
色白な印象のある造形ではないので、肌色は濃い目。まぁしっくりこなくともパレット調整はいくらでも利くので。

肌をやったら隣接する目や髪。服は描き込みの加減が難しいので後回し。
「目の色」というのはキャラクターを考えるにあたり意味を持たせたくなるところだと思うので、
最初はパレット使いまわしで茶色だったが、空を映す青色なんか物語がありそうじゃなかろうかということで青色に。
他の部位に一切使ってない色は映えるしな! 映えるか浮くかは加減のしんどいところであるが。

機械羽というか歯車部分について、
縁取り出来るだけのピクセル余裕が無いので、なんとなく立体をぼんやり意識しつつ、
それっぽい金系統の色を乗せていく。
なんとなく立体をぼんやり意識というか、描きながら考えている面が強い。いきあたり ばったり

機械羽のガラスっぽい部分の色を一段階明るくしようとして、
誤って50%トーンを保持したまま実行してしまったためトーンが掛かってしまったのだが、
「これはこれできらきらした感じがして良い…ような……?」と感じたので続行。
この際、機械羽にトーン掛ける前の画像をコピーして別レイヤに保管しておく。
トーンが入ると良くも悪くもざらつき感が出るので、この判断は未だに微妙に悩むところである。

機械羽に悩んだので、様子を見るのも兼ねて放置していた服類に着手。
陰色乗せて、ざらっとしてそうなものはトーンで間を生めて、
黒だときつすぎるところを濃い色に変えてなじませなじませ。あとハイライト乗せたり。
ブーツに留め具っぽい点をぽちぽち置くのがとてもたのしい。

ざかっと全体の影を描き、失念していた顎下の輪郭線の処理をし、背景を真っ白に変更。
「僕としちゃまぁええかな」「友人が喜んでくれるかは祈ろう、祈れ」ということで完成。png保存。

絵としてはひとまず完成なので製作過程gifも置いておこう。
…しかしまぁ、色塗りの過程画像がもうちょっと欲しいところであるが、
「な ん と か す る」はつまるところ、
「やれそうなところからやれるだけのことを納得できるまでやって完成度を気合で上げる」なので、
なかなか区切り所が無いのである。


■6.加工
SAIの新規キャンバス作成で、300dpiにおける官製はがきが1181*1748pxであることを調べ、
AzPainter2でそのサイズのキャンバスを作成。
png保存したドット絵を開き、「拡大縮小方法:ニアレストネイバー」で900%拡大。
別ファイルで作成していた文字も別レイヤに入れて適当に配置。
あとはコピー用紙に印刷し、印刷限界で切れないか確認・調整を適宜重ねて完成。

というかこの、ニアレストネイバーとかいう拡大が出来るというだけでAzPainter2を入れている節がある。
これじゃないとぼやける。他の形式は、拡大にあたって滑らかになるよう補間するらしい。よけいなことを。
一応MSペイントでも拡大形式としてはニアレストネイバーなのか、ぼやけることなく拡大出来る。
が、レイヤが無いと編集が覚束無いので使っていない。アズペはフリーだしな!


といったようになんやかんやを重ねてこうなる。こうした。なおこれは完成ファイルの1/3くらいのサイズである。
後は印刷して、弁明と祈りと親愛を足したり割ったりした文言をつらつら書いて宛名も書いてポストへシュウッ




来年は犬かぁ…何しようかねぇ……(※干支に拘る必要は無いが絵のネタの取っ掛かりが欲しい)

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